連載「DARK SIDE OF THE ZZZooN」第19回


[19]

〜Another Story of ZZZoo③〜

 「ムルギーのカレー食いてえ!しかし渋谷に行くのは面倒くさい。ということは、自分でムルギーのカレーを作るしかない。しかしそれはもっと面倒くさい。そもそもできない。」

 意味不明だ。慌てて割って入ったMCが手を挙げる。

 「セイッホオォ〜!お待たせしたね皆さん!では演奏を始めてもらいましょう!本日のメインイベントはこいつら!ズズズーーーーー!」

 ZZZoo。

 バックドロップには三角の不思議なキャラクターが描かれている。何かの秘密結社なのか?名前はズズズーと読むのか。

 そして舞台袖からもう1人のギターが登場してきた。

 ターンテーブルからは摩訶不思議なリズムが流れ他のメンバーは静かに演奏を始めているがそのクールな佇まいの男はタバコを立て続けに3本吸いながらエフェクターを魔法陣のように設置している。

 それを観ていたもう1人のギターが歩み寄り「俺にもタバコくれへん?」。

 そして肺一杯に煙を吸い込んで息を吐き再びマイクを握り叫んだ。

 「GO GO 桂米朝首脳会談ーー!!」

 2mはあろうかというパーカッションの大きな男がドラを荒々しく鳴らし大学の講師よろしく色男なsaxは狂ったように吹きベーシストにしてはあまりにもカリスマ性がありすぎるボーカル兼ベースの男は「オマエは魚と暮らすのかー!!」と絶叫する。

 そして宇宙のようなサウンドを奏でる左右のギタリスト。

 高円寺の駅前を一瞬にして異次元に引きずり込んだバンドサウンドは今まで聴いたことないような音楽で頭をハンマーで打ち砕かれたような衝撃を受けた。

 高校生三年生の夏だった。

(つづく)

KAZI