連載「DARK SIDE OF THE ZZZooN」第17回


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〜Another Story of ZZZoo①〜

 生まれも育ちも高円寺の俺は阿波おどりにしか興味がなく毎週土日の練習だけが週末のメインの行事だった。

 と言っても彼女もいるし友達と遊んだりバンドやったり何かとやることが多い高校生だからスケジュールかなりきつい。だからと言って別に義務でもなんでもないから興味がなくなったら辞めればいいだけの話だ。

 そんな俺の運命を変えるような決定的な出来事がこの夏起こった。

 気温は40度近いサウナのように蒸し暑い八月のとある日の午後。高円寺駅前北口広場では大規模な反政府デモが繰り広げてられていた。

 「NO NUKES」「NO WAR!」などのプラカードを掲げ大音量で音楽を流しながら行進する群衆。

 出店や大道芸などで駅前は歩行者天国となり大変な盛り上がりとなっていたがまだ17歳の俺は政治なんかには興味がないしよくわからない。

 ただ駅の向こう側にある阿波おどりの練習場に向かいたいだけだった。このままじゃ遅刻だ…

 しかしこの人混みでは前に進むこともできずさっきから全く人の渦は動かない。

 すみませんすみませんとかき分けて前進を試みるが流され巻き込まれていつのまにか北口広場の最前列辺りに移動してしまった。

 ちょうどバンドかなにかがセッティング中でそれを待つ群衆の静かに燃える視線がステージに注がれていた。

(つづく)

KAZI