連載「DARK SIDE OF THE ZZZooN」第18回


[18]

〜Another Story of ZZZoo②〜

 日本のロックが幼稚にしか聴こえずビートルズ、クリムゾン、ピンクフロイド、サンタナ辺りを好んで聴くのは父親の影響で当然同級生と話が合うはずもなかった。だからライブハウスにも付き合いでしか行ったことないし出た経験もない。

 鼻っから期待なんてしていない俺は半ば諦めたようにギュウギュウに人が詰まったその広場でこれから出てくるであろう多分退屈なバンドの演奏が早く終わる事を祈った。

 司会のバブルガムブラザーズという日焼けした2人組の大きな男がステージに現れニヤニヤしながらマイクを握る。

 「いや〜どもども、皆さんお待ちかねとは思いますがメンバーの到着が遅れてまして…すみませんねオッホッホ」

 「なんだかツインギターのうち一人は今から家出るって言うしもう一人のギターは酷い二日酔いらしくて楽屋でうずくまってるよ!」「saxは?」

 「阿佐ヶ谷方面に歩いて行っちゃったらしくて!ガハハ」

 「まったくどうしようもないバンドだな〜おい…セイッホオォ〜!」

 「早くヤマジを出せー!!」

 後ろの白髪交じりの中年男性が叫ぶ。やれやれだ。

 俺はとにかくこの場を離れたかった。しかしこの満員電車のようなすし詰めの状態では身動きが取れずただただバンドが始まるのを待つしかなかった。

 30分ほど待っただろうか、ターンテーブル、パーカッション、sax.ベースと4人は揃っている。

 袖からフラフラしながらお腹に楽器を乗せるように抱えたギタリストがマイクを握り客席を見つめ静かに喋り出した。


 「朝起きたら、いっぱいフォロワーが減っている。数十人程度しかフォローしてない連中のTLが、俺のツイートで溢れかえって、イラッときてリムーヴしてるんだろう。

 ボケ!

 お前らがツイッターの使い方を間違ってるんじゃ!!」

 一体何を言ってるんだ?

 俺は益々この場を離れたくなった。

(つづく)

KAZI